1.方針

福井コンピュータグループは、持続的な企業価値の向上に向け、サステナビリティ経営を推し進めるにあたり、気候変動問題を重要な要素の一つとして捉え、2022年12月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明いたしました。
今後は、サステナビリティ推進委員会を中心にTCFDの提言に基づいた「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」に関する情報開示を推進し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

TCFD

2.ガバナンス

福井コンピュータグループでは、サステナビリティ経営の推進を目的に、気候変動対策を含むサステナビリティに関わる取り組みの管理・監督機関として、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置しています。
サステナビリティ推進委員会ではサステナビリティにかかわる基本方針や戦略案、課題への対応策、目標などの検討・協議を行うとともに、各事業会社及び部門における取り組みの進捗管理または評価を行っています。
サステナビリティ推進委員会で協議された事項は経営会議を経て定期的に取締役会へ報告・提言され、経営資源の配分や事業ポートフォリオ等の戦略にも関連する重要事項については、改めて取締役会やグループ経営会議等にて決議することとなっており、最高意思決定機関である取締役会にて適切に監督される体制を築いています。

ガバナンス体制図

3.戦略

福井コンピュータグループでは、サステナビリティ推進委員会にて気候変動関連リスク及び機会の特定・評価に必要なデータやパラメータの収集を行い、事業への影響度の評価を進めています。
福井コンピュータグループでは影響評価手法としてシナリオ分析を行い、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表するシナリオを用い、異なる2つの将来世界観における2030年時点の影響を分析しています。

4℃シナリオ 1.5℃(2℃未満)シナリオ
経済活動が優先され、気候変動対策に関しては消極的なシナリオ
政府による気候変動関連の政策・規制は進展せず、今世紀末時点で世界の平均気温は産業革命期と比較して4℃上昇し、慢性的な気象変化や異常気象災害による物理的な影響が拡大する。
脱炭素社会実現に向けた取り組みが積極的に進められるシナリオ
今世紀末時点で世界の平均気温の上昇が産業革命期と比較して2℃未満に抑えられるよう、政策・規制の強化が進むとともに、世間の需要も変化する。
(参考シナリオ)
IPCC第5次評価報告書(AR5)RCP8.5
IEA WEO2021 STEPS
(参考シナリオ)
IPCC第5次評価報告書(AR5)RCP2.6
IEA WEO2019 SDS、NZE2050

4℃シナリオにおける影響評価

4℃シナリオ分析では、洪水や高潮等の自然災害の発生頻度が高まることによる、拠点の直接的被害や営業停止に伴う損失や平均気温上昇による空調コストの増加を主なリスクとして分析・評価を行いました。
また、森林火災面積の増加に伴う資材価格高騰による顧客の財務圧迫リスクも考慮し、福井コンピュータグループに関わる影響を考察しました。
一方で、自然災害の頻発化により、防災・減災性能の向上を図る建設・土木工事の需要が高まることが予想され、これら需要に対応した測量・設計に貢献するシステムの開発は機会となり得ると考察しています。
今後、考察したリスクへの対応や機会の獲得に向け、対応策を検討してまいります。

1.5℃(2℃未満)シナリオにおける影響評価

1.5℃(2℃未満)シナリオ分析では、炭素価格や電力価格の高騰に伴う費用の増加を主なリスクとして分析・評価しました。
また、セメントや鉄鋼価格の増加による顧客の財務圧迫リスクも考慮し、福井コンピュータグループに関わる影響を考察しました。一方で、気候変動対策関連規制の強化により、再エネ・省エネ関連設備の需要増加や施工現場における省エネ・省人化に寄与するシステム需要の増加が想定され、これらの需要に対応したシステムの開発は機会となり得ると考察しています。
福井コンピュータグループでは、かねてより再エネの活用などを進めていますが、今後これらの取り組みを一層促進させていくとともに、さらなる対応策を検討してまいります。

区分 要因 事象 分類 時間軸 評価 対応策
4℃
シナリオ
1.5℃
(2℃未満)
シナリオ
移行リスク カーボンプライシング
  • 炭素税をはじめとするカーボンプライシングの導入により、事業運営における電力使用等にかかるコストの増加
リスク 中期
  • 再生可能エネルギーの活用
  • 照明のLED化をはじめとする省エネ対策
  • 電子契約システムやワークフローシステムの導入によるペーパーレス化
  • 高効率な空調システムの導入
  • 省電力のPCへの入れ替え
エネルギーコストの変化
  • 再生可能エネルギーへの転換に伴う購買電力コストの増加
リスク 中期
  • 照明のLED化をはじめとする省エネ対策
  • 省電力のPCへの入れ替え
顧客行動の変化
  • 省エネ・再エネ性能に優れた建築物の需要増加に伴う、対応したシステムの需要増加
  • 施工現場での省エネ・省人化に寄与するシステムの需要増加
機会 中期
  • 「改正建築物省エネ法」で求められる新たな計算方法へのシステムの対応
  • 施工段階における省エネ化・省人化につながるシステムの開発
  • 炭素税の導入や、セメント、鉄鋼価格の高騰により顧客である建設業者の資材コスト上昇
機会 中期
  • 施工段階における省エネ化・省資源化につながるシステムの開発
物理的リスク 異常気象の頻発化
  • 洪水や高潮による自社拠点への直接的な被害
  • 拠点被害による営業停止に伴う損害
リスク 短期
  • BCP対策
  • リモートワーク制度の整備
平均気温の上昇
  • 空調使用量の増加
リスク 中期
  • 高効率な空調システムの導入
顧客行動の変化
  • 防災・減災性能の向上を図る建設・土木工事の需要増加に伴う、測量・設計システムの販売機会の増加
機会 中期
  • 災害対策検討を支援するシステム開発
  • 作業効率化システムの開発
  • 降水量減少や気温の上昇に起因して森林火災の発生頻度や規模が大きくなり、顧客である建設業者の資材コスト上昇
リスク 中期
  • 作業効率化システムの開発

<時間軸の定義>
短期:0~1年、中期:1~9年、長期:9年

4.リスク管理

福井コンピュータグループでは、企業経営に重大な影響を及ぼす事象を認識し、未然に防止する策を講じるとともに、万一重大事象が発生した場合に会社が被る損失又は不利益を最小化する体制の構築を目的に、リスク管理規程を作成しています。
また、リスク管理規程に基づいたリスクの洗い出しや評価、予防策の検討等を行うことを目的に、リスク・コンプライアンス委員会を設置しています。
福井コンピュータグループの各事業会社及び部門の従業員は、リスクの発生及び予測されるリスクに重要な変化があった場合、リスク・コンプライアンス委員会に通知することを定めています。
気候変動に関するリスクについては、サステナビリティ推進委員会と連携し、シナリオ分析等を通じてリスク評価を行うとともに、対応策についての検討・協議を行っています。
リスク・コンプライアンス委員会にて評価したリスクやその対応策は取締役会やグループ経営会議に報告され、必要に応じて経営会議による指示を受けて各事業会社及び部門にて対策を実行に移すことでリスク管理を行っています。

5.指標と目標

福井コンピュータグループでは国内経済界などの動向と足並みをそろえながらにSBT基準に準拠したGHG排出量削減目標を設定し、2045年でのカーボンニュートラルの達成を目指し、中間目標としては、Scope1,2の合計排出量を2030年度までに2021年度比55%削減することとしております。
今後、サステナビリティ推進委員会を主体として会社全体で取り組みを進め、GHG排出量削減目標をサステナビリティ経営の指標の1つとして進捗を管理してまいります。なお、直近年度のScope1,2における排出実績は以下のとおりであります。

対象Scope 2021年度実績
(基準年)
(t-CO2)
2022年度実績
(前年度比増減)
(t-CO2)
目標値
(2030年目標)※2
(t-CO2)
Scope1 396.5 359.5
(△37.0)
317
Scope2 791.5 237.1
(△554.4※1)
217
Scope1+2 1,188.08 596.6
(△591.48)
534
(2021年度比 55%減)