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統合報告書202517トップメッセージ面などのデータは個別に紙やPDFで共有されていたため、設計変更時の情報伝達や施工段階との連携に手間とロスが生じていました。ARCHITREND ONEは設計から施工、維持管理までプロジェクト全体でデータを一貫共有し、こうした断絶を解消するインフラを提供します。 しかし、ARCHITREND ONEは従来のように設計成果をアウトプットするツールではないため、その価値を正しく理解し、導入を判断していただくまでには一定のハードルがあります。こうした課題は、クラウド型業務システムが登場した当初、多くの企業が直面した状況とも重なります。単なる導入支援に留まらず、「業務そのものの変革」をユーザーと共に進める――そのための伴走型のカスタマーサクセスこそが、ARCHITREND ONEの真の価値を定着させる鍵であると考えています。 AIは古代ローマ時代の“道路”と“紙” 私は社内で「AIは古代ローマ時代の“道路”と“紙”に匹敵する存在だ」と話しています。インターネットが普及し世界中の情報にアクセスできるようになった現代、生成AIの登場によってプロンプト(指示)一つで膨大な知識を引き出し、新たなアウトプットを得ることが可能になりました。これは情報流通を支える“道路”と情報記録の“紙”に匹敵する革命です。AIを使いこなすことは極めて重要であり、これを活用できるかできないかで、会社の存亡に関わるものだという風に考えています。 こうした認識のもと、当社ではAIの社内活用と、AI技術を組み込んだ製品・サービス開発の双方を積極的に推進しています。例えば日常業務の効率化に生成系AIを取り入れることはもちろん、建築設計や施工管理の分野でもAIの分析・自動化能力を最大限活かせるよう研究開発を進めています。ただし重要なのは、既存業務の一部をAIで代替する発想に留まらず、業務フロー全体をAI前提で再構築する大胆さです。現場からは「図面の整合性チェックをAIに任せよう」といったアイデアも出ますが、それは人間の作業を部分的に置き換える従来型の発想に過ぎません。そうではなく、「設計という業務全体をAIが担ったらプロセスはどう変わるか」とゼロベースで考えるべきです。こうして初めて、従来当たり前だった手順を省略・簡素化した真のAI時代にふさわしいソリューションが見えてきます。 もっとも、こうした発想の転換には新たなスキルや人材が必要であり、その確保・育成も今後の重要な課題です。 株主・投資家の皆様へ 刻々と変化する事業環境において、当社は柔軟な経営判断と堅実な財務戦略の両立を図っています。中計策定から1年が経過しましたが、この間に生成AIなどテクノロジーが想定以上のスピードで進化しました。技術開発のロードマップも状況に応じた更新が必要だと痛感しています。計画を遵守することは大切ですが、それ以上に環境変化に対応する姿勢が持続的成長には欠かせません。中計にも変化への